猫の歯と歯周病
みなさんこんにちは、動物看護師の松尾です。

ノア動物病院で働き始めて5年目になり、昨年末からパピー向けのデンタル教室を担当させていただいています。
本当に熱心な方が多く、ケアしてもらえるワンちゃんたちは幸せだろうな、と常々思っています。
教室を進めていくうち、猫のデンタルケアについても考えるようになりました。
待合室でケアの方法についてお話させてもらうこともありますが、なかなか全てを伝えきることはできず中途半端な部分で終わってしまうことも多く…。

そこで、猫ちゃんのホームデンタルケアシリーズと題して、皆さんと一緒に頑張っていけるように歯のお話を定期的にお伝えしていきたいと思います。
初回である今回は「猫ちゃんの歯と歯周病」についてです。
みなさん、お家の猫ちゃんのお口の中を観察することはできますか?
ホームデンタルケアは、お口の中の状態を把握することから始まります。
上唇をめくってみて、すぐに見えるよく目立つのは牙の歯(犬歯)でしょう。
一番目立つ歯でもあるので、この歯に付いている汚れは確認しやすくケアしやすいかと思います。
しかし、犬歯よりももっと汚れやすいのは、更に奥の方にある臼歯という歯です。
前臼歯や後臼歯など臼歯にはいくつか種類があるのですが、大事なのは上下左右合わせて4本ある一番大きな臼歯です。
この4本の歯は、食べ物を引き裂く役割がある大切な歯で、「裂肉歯」と呼ばれています。
奥にあるのでケアがしにくく、歯みがきが上手にできる子でも汚れが付いてしまうこともあります。
猫ちゃんもヒトと同じように、ケアが不十分だと歯周病になります。
歯に付いた汚れは時間とともに石灰化し、こびりついて落とせない歯石へと変わります。
歯石の表面はざらざらしているので汚れがつきやすく、更に汚れが付いていき…と、歯周病は進行していき、最悪の場合抜歯が必要になることも。
抜歯や歯石除去の処置には全身麻酔が不可欠なので、できることなら避けてあげたいですよね。 デンタルケアを日頃からしてあげることで歯周病のリスクは低くなりますので、長く続けられそうなケアをできるだけ継続して行っていくことが大切です。
気を付けていただきたいのは、もう既に歯周病が進行している子に対してのデンタルケアです。
炎症が広範囲におよんでしまっていると、歯がぐらついたりして痛みを感じている場合があります。
その状態でのデンタルケアは猫ちゃんに嫌な思いをさせてしまい、お口に触ることが難しくなってしまいます。
こんな症状があったら歯周病にかかっている可能性があるので要注意です!!
*ものを噛むときに痛そうな仕草をする
*食事のときに食べこぼすことが多い

お心当たりがある場合は、お家でデンタルケアを始める前に一度診察に来ていただくことをおすすめします。
次回から、具体的なデンタルケアの内容について説明させていただきます。 ぜひ、お家の猫ちゃんと頑張ってみてください!